2007年02月02日

エアーズロック(ウルル)

 
ついに、ついに待ちに待ったエアーズロックの姿が見えてきた〜!!


 行けども行けども荒野が広がってた大地に突如姿を現したその岩は、遠目からでもその存在感がビシビシ伝わってくるほど異様な迫力がある。

 徐々に近づくにつれ、そのあまりに巨大な存在感は威圧感へと変わり、よくわかんないけどこれ以上近づいたらヤバイんじゃないか、、!?というイメージさえ抱いてしまう。


 かりに自分がこんな地の果てのような大地で、行きついた先にこんな岩を発見してしまったら・・・。


 こんな想像の域を越えてしまってるような存在はそれだけで恐ろしくて近付くことすら絶対しないだろう、、、

 それほど、この岩の存在は不自然というか、異様というか普通では到底ありえないモノに見えて仕方なかった。


 ここはもともと数万年も前からオーストラリア先住民族「アボリジニ」の聖地だったにも関わらず、後から移り住んできたヨーロッパ系移民に発見され勝手に観光地にされてしまった歴史がある。

 現在オーストラリア政府はここを国立公園として一般解放する事と、その管理・運営に政府が介入することを条件にこの土地をアボリジニに返還したそうだが、無理やり観光地化されたあげく無造作に大衆の目にさらされる羽目になってしまった聖地の姿はなんとも哀れに思えて仕方が無かった。

 だが、それでも今なお聖地としてこの土地を守り続けているアボリジニの想いはこの辺り一帯の節々で感じる事が出来た。

 エアーズロックには登ることも出来るのだが、アボリジニにとってこの行為は許し難い行為らしく、パンフレットや登山口の入り口などには、 「どうかこの岩に登ることについてどうかもう一度考え直してください」というアボリジニからのメッセージが数カ国語で記されている。

 最近では渡されるパンフレットや文化センターでの説明からその想いを汲み、直前に考え直す外国人旅行者も多くなってきたそうだが、日本人旅行者に関してはまだまだ登る人が後を断たないらしい。。

 その他にも歴史的に重要な意味が込められている壁画や特に東側からの岩の外観などは写真を撮ることのみならず、メディアやインターネットへの掲載も原則禁じられている。

 うちらも登ることは初めから考えてなかったんだけど、写真が思うように撮れなかったり、それをブログにも載せられないというのは少し残念に感じた。

 しかし、あくまで一観光客のうちらがこの地を真剣に守る彼らの為に出来る事といえばその想いを出来る限り尊重する事ぐらいしかできなかったのだ。

 それにこの岩に登る日本人が後を断たない理由の一つに、ただ単にこの岩を珍しいだけのモノとしてしか捕らえてないという事が考えられるだろう。

 もらったパンフレットの中に印象的だったアボリジニの言葉があったのでちょっと紹介。。

 「この土地に来てカメラで写真を撮ることにだけに専念している観光客もいますが、一体何を目的に写真を撮るのでしょうか。 カメラのレンズを通してその表面を写すのではなく、内部を見ることができる心のレンズを使ってみてはいかがでしょうか。 岩の本当の姿を心のレンズで見ればカメラなど必要ないはずです。 岩に登ってみても岩の本来の姿は見えません。岩から離れて暫く耳を傾けてみて下さい。 耳を傾けて岩が何を言おうとしてるのかを悟る、それが真に岩を理解する事になるのです。 これで私達がなぜ岩に登らないようにお願いしているか理解して頂けると思います。」

 この言葉には正直ドキッとさせられた。

 だいたい観光名所で配ってるパンフレットといえば、ありきたりで安っぽい内容ってのが相場なのに、さすがはアボリジニ・・・。

 これはこの岩を理解する為だけじゃなくても、物事全てに通ずる事じゃないかと思う。

 この時、自分も最近カメラばかり頼り過ぎていて肝心な「心のレンズ」とやらが曇ってきてしまってるのに気づいた。

 こりゃ写りが悪くなっちゃう前に、もっと磨いてあげなきゃな、、、

 なんて事を考えながら、夕陽を浴びて真っ赤に染まった勇ましい姿をアボリジニの想いと共にしっかりと胸に焼き付けた。


 

※先住民族アボリジニについて知るには「ミュータントメッセージ」という本がお薦め!! 自分も旅出つ直前に知り合いの人から薦められて読んだんだけど、これは特にアボリジニについて興味が無いという人にも是非読んでもらいたい本!! 内容は非常に興味深い実体験に基づいたドキュメンタリー。



sekaihokkori at 19:44│Comments(0)TrackBack(0)clip!オーストラリア 

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