2007年05月23日

インドのマクドナルド

 久しぶりに「マクドナルド」と再会を果たしたうちらは、会った途端にその赤と黄色のコントラストに目を奪われ、まるで吸い込まれるかのようにガラス扉を開いていた。

 こう何カ月もインド飯ばっかりだと、いい加減飽きてくる、、、

 しまいには具合まで悪くなってくる、、、

 そのさなかにいると「マクドナルド」という存在は、砂漠のオアシスさながらの威力を発揮するのだ。

 この日、インドの首都「デリー」でマックの看板を偶然見つけてしまったときも、自ずとうちらの間に「暗黙の了解」が成立し、すでに互いの頭の中は何を食べるかで一杯だった。。。

 値段は大衆的なインド飯に比べ結構高めなんだけど、それでも「背に腹はかえられない!!」インドでのマックの存在価値はそれほど高いのだ。


 これはそのときの話、、、


 ガンガンに冷房が効いた、涼しい店内にて。

 ゆりが好物の「フィレオフィッシュバーガー」を一心不乱にモグモグしていると、おもむろに一人の若い店員が話しかけてきた。

 店員「エクスキュ〜ズミィ〜、ちょっとそこどいてくれる?」
 

 椅子にモップをコツコツあてながらそう言ってきた。どうやらゆりの椅子の下を掃除したいようだ,,,
 

 ゆり「いま食べてるの、だから後にして。」
 

 それでも店員は、モップで椅子をコツコツしながら
 

 「掃除をするから立って欲しいんだって。」と言い返す。
 

 ゆり「だから今食べてるの!食べ終わったらにしてってば〜!」
 

 それでもなお、店員は引き下がらずゴタゴタ言い続けている。 そうこうしてると、奥から支配人らしき人物がやってきた。


 支配人「どうしました?」


 とりあえず支配人にワケを話してみたが、どうやらこの支配人も

「掃除をしてあげるというのに、何故この客はつべこべと言っているんだ?」 としか理解してくれてない様子だった。

 インドでは日本の常識というものが通用しないのは分かっている。 もし、その辺の安食堂で同じことをやられたら素直に立ったであろう、、、

 

 しかぁぁ〜〜し、、ここは世界のマクドナルドだ!!!

 

 うちらは、その世界共通ともいえる「マッククオリィティー」を求め、わざわざ高い金払って食べにきているのだ。

 そこで、この支配人には、、、、

 「普通、マクドナルドでは客の食事中に席を立たせて掃除することはしないです。本当に客の事を考えるなら食事が終わってから掃除する方が良いと思うし、それがサービスではないですか?」と伝えた。

 これには黙ってしまった支配人・・・。

 ボソボソッと気まずそうに謝るやいなや、すぐにその店員を連れて奥の部屋へと引っ込んでしまった。

 しばらくして、支配人と一緒に出てきた店員はさっきまでとは別人のようにショボくれている。。。

 奥でこっぴどく叱られたのだろう、、、

 きっとマックには、かなり詳細な内容の経営マニュアルがあると思うんだけど、

 そのマニュアルには 「店内は常に清潔に!」とか

「床は常にピカピカに!」 と書かれていても

「食事中のお客を立たせてまで掃除してはダメ!」

 とまでは書かれていなかったんだろう。。。 

 ま〜マック側にしても、さすがにそんな事までマニュアルにしてたらキリがないだろうし、、、

 それに、こういった問題はインドならではなのかもしれない・・。

 というのもインドでは「カースト制度」の名残か、仕事は分業制が当たり前のようなのだ。

 掃除といったらひたすら掃除、、、

 調理といったらひたすら調理、、、

 この店員君も、店に入ったときから汚れてもない床を行ったり来たりと、ひたすら床掃除だけに専念していた。

 きっと、この店員君の頭の中は「床をピカピカにする」事でいっぱいだったのだ。

 そして、これこそが店員君の唯一の使命でもある。。。

 その結果、「お客を第一に考える」というサービスの大前提がスッポリ抜けてしまっているのだ。

 だから、何の為に「床をピカピカ」にするのかは、この店員君の頭には無いはずだ。

 これは、支配人とて同じだったと思う。

 あくまでマックのマニュアルを守る事に必死で、それが仕事の「全て」になっていたのだろう。

 支配人ですらこの調子なのに、一方的に叱られた店員君はむしろ気の毒だ、、、

 初めは「文化の違い」とか「人種の違い」という単純な理由だけでこれを片付けようとしたけど、よくよく考えてみるとこれと同じような事はいたるトコでも起きてるじゃないか・・。

 今回みたいな事は、なにも企業経営に限った話だけじゃなく、程度は違えど「教育」や「宗教」等の世界でも同じ事が言えると思う、、、

 本来、画一的であるハズのない人間を「マニュアル」という規範にハメ込み、何とか画一的にやろうってんだからそこに「歪み」や「誤解」が生じるのは仕方ない事なのかも・・。

 これは、人間社会の中で「マニュアル」というモノ自体が存在していく事の難しさの、ちょっとした表われなんじゃないのかな、、!?

 ふと、こんな事を垣間見た面白い出来事でした。。。



sekaihokkori at 22:29│Comments(1)TrackBack(0)clip!インド 

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この記事へのコメント

1. Posted by h-ueda   2007年12月11日 17:40
5 お国が違うと、こんなにも常識が変わってしまうんですね
言ってみたい国のひとつではありますが、いつもってしまいそう。
頑張ってください

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